検索結果 : 徳川家の婿達

万の華
まるで夢を見ているようだ、と彼は思った。突然降って湧いたようなーと彼は感じていたー縁談話はそれこそとんとん拍子に定まって、更には花嫁行列も静々とだが早々に江戸からの遠路はるばるやって来て、祝言も済んだ
千の鳥
鳥達が、東の空へと羽ばたいて行く。愚かな人間達の営みなど関係ない、自然の摂理だと分かっていながら、彼はそれを前兆と感じずにはいられなかった。既に、彼の為に戦ってくれた多くの者達が命を落としたと聞いてい
黄金の船~茉莉花
黄金の船~茉莉花
「父上っっっ如何すれば良いのですかっっ」末弟であり養嗣子として家督を継がせた利光が、頑是無い童子の頃の儘、地団駄踏みながら訴えてくるのに、利長は先ず利光の足元の床を心配した。利光は亡き父親似の長身で、
白龍珠
(今日はどんなことが待っているのかしら)幼い頃から、目覚めて直ぐ珠はそんな風に思う。三歳迄過ごしたという、産みの両親及び江戸の記憶は珠には無い。珠が知るのは、緑深く水清き加賀国。北陸の海の色は、険しい
姫君の嗜み
どうやら初の怪我は大した事がないとー本来は典医を呼ぶべきなのだろうが、初が嫌がったし、大まかにならば彼にも骨折や捻挫等の診断は出来るので先ずは彼が診て、その後念の為に町医者を呼んで確かめたー判明した為
姫君の憂鬱
初はその日、実家ーというと少々語弊があるかもしれないがーである江城に遊びに来ていた。昨今では、大名家の妻子ー特に正妻と嫡子ーは江戸の藩邸で暮らすのがほぼ定めとなっているような感がある。若狭小浜藩主の正
黄金の船~竹酔と青女
黄金の船~竹酔と青女
珍しくその身分に相応しい形をした妻を連れていた忠高は、前方に見知った顔を発見して一瞬逡巡したものの結局その場に立ち止まって相手をやり過ごす事を選んだ。同様の立場ではあるが、見過ごせない、無視出来ない一
姫君の戯れ
「まあ!それ、本当?!」三つ年上の姉は、元々黒目がちの円らな瞳を愛らしく見開いて輝かせた。加賀藩の飛び地を通った際に偶然里帰りしていたという姉の侍女に会い、侍女を送りがてら挨拶だけというつもりで立ち寄
筒井筒【下】
関ヶ原の大戦から既に十五年。幼かった忠直には、甲冑姿の父は誰よりも勇猛で気高い戦神のようにすら見えたものだ。「旦那様……」あの頃の忠直と同じように、目を丸くしているー既に幼いとは言えないかもしれないー
筒井筒【上】
慶安三年。従弟であり義弟であった徳川三代将軍が病の床に伏していると風の噂に聞いた。己には既に関わり無い遠い場所、遠い人々の話と思いつつ、彼はそれでも自ずと筆を取っていた。*幼い頃、記憶も定かでない頃か
白露【下】
目覚めた時、何やら心地良いと感じただけですぐに記憶は甦らなかった。好もしいと思う腕の中のモノをただ一層己の方へと近付け身を寄せる。微かに擽ったい吐息が耳朶に触れ、吐息と共に熱っぽく悩ましい囁きが耳の内
白露【上】
大坂城攻めは、忠高にとって無論初陣であった。五年前に歿した父が先の大戦ではー天下分け目の地ではなく、居城に敵方を引きつけー大いに味方の勝利に貢献したとして、家中の士気は高い。此度も忠高及び京極家こそが

メニューページ

メインコンテンツ

タグ別

公開日別

外部サイト様への投稿

Popular Entries

その日、秀忠は己が今迄にない特上の上機嫌であることを隠すのに必死であった。何と言っても今彼は忙しい。いや正確に言えば、彼だけでなく更には伏見にいる大名だけでなく民草全て迄皆忙しい。後の世に慶長伏見地震
Read more
ぼんやりと江は薄暗がりの中目を開けた。まだ夜は明けてないらしい、などと考えて、それから未だ己の身が夫に抱き抱えられた状態、更にはその身を深く繋げられた状態だと気付いて独り頬を染めてしまう。(……このよ
Read more
いつものように、江戸に残っている唯一の子である三の姫の様子を見に行きー相変わらずお転婆だが、顔立ちなどはますます父親に似てきたような、彼女の心を暖めてくれると共に胸轟かせるような表情すら浮かべるー娘と
Read more
夜闇は深まるばかりだ。「やっ……やめて、下さい、そんな……」江は懸命に身を捩り、逃れようと努めた。だが年下の夫ーということを常に夫秀忠は主張し続ける。そんなに年上の女が嫌ならば夫婦にならなければ良かっ
Read more
身体を繋げられないのはもどかしいがこの女の為ならば仕方がない、などと自然に思ってしまえる自分を不思議に感じながら秀忠は女を抱き締め、その場所は避けるように身体を動かしていた。だが出来るだけ早く交わりた
Read more

Recent Comments

明けましておめでとうございます!新年早々、新婚時代の新作、うれしいです。今年も楽しみに読ませていただきますね!
Read more
江さんと秀忠さんの新作、うれしいです!これからじっくり読ませていただくのですが、一つお伝えしたくて。PREVIEW、いいですね!もうすぐ公開予定の作品があるとわかると、わくわくします。これからも作品を拝読するのを楽しみにしてます!!
Read more
やっぱり新婚時代の話、大好きです!!ありがとうございます。 秀忠さんびいきの私としては、民部がもう少し秀忠さんのことを認めてくれてもいいのになって思います。立場上もちろん丁重に接してはいますけどね。まあ、徳川家の家臣や使用人達は秀忠さんに忠誠を誓っているわけだから、立場の違う民部は仕方ないのかな。
Read more
新作、読みました!!今回は登場人物が超豪華ですね!信長、秀吉、家康、お市の方まで。3英傑が揃って生きていた時代って、今から考えるとすごいなーと思います。家康公(なぜか呼び捨てに抵抗がある・・・前の文ではしてるけど)視点のお話って初めてですよね?新鮮でした。
Read more
コメントするところが違ってますが、日見始、昨日読みました! 新婚時代のラブラブ話、やっぱりいいです!!ありがとうございました。黄金の船シリーズの秀忠さんは穏やかで思慮深い印象、東と西シリーズの秀忠さんは武士の名門の若君らしく、若々しくて激しさを感じさせますが、どっちも楽しんでます!!これからも作品楽しみにしてます。
Read more

Information

緊急連絡は現在ありません。

Recent Update

早、朝晩凍るような寒さが沁み入る時節。何とも月日が経つのは早いものだ、などと思ながら、江は冬枯れの詫びた庭を眺めた。江が夫に連れられ、赤子の姫共々江戸へ下り、婚家の本城である江城に入ったのは、夏のこと
Read more
寒い日が続く。だが江は以前よりもずっと冬の寒さというものが好きになった。元々雪は大好きだし、ひやりとした空気は時折辛くはあるものの己の吐く息が白くなったりするのが妙に楽しかったりする。無論己に仕える者
Read more
無事二人目の子が産まれた。子を産んだ妻ー秀忠にとっては大切な正妻であり、また愛おしくも恋しく慕い続けている女、でもあるーは少し沈んでいる。彼女は何の根拠もなく男児が産まれると信じ込んでいた。秀忠は時折
Read more
(秀忠様は、私と離縁しても構わぬと思っておいでなのだわ。いいえ、もしかしたら)寧ろとうに、年上で美しくも淑やかでもない己になど飽きてしまっていて、彼女の方から身を引くのを待っていたのかもしれない、と思
Read more
通常、寝つきが悪く寝起きが異様に良い彼の目覚めは、はっきりくっきりしたものなのだが、その朝は違った。己では否定していたものの、やはり彼も疲労が溜まっていたーあるいは慣れぬ務めで気疲れしていた、のかもし
Read more

Preview

Information(Board)

サイト改装しました! といいつつ、表向きは全く変わらない(ように作った)筈です。 何かおかしいところがございましたら、ご連絡頂けると助かります。
Read more